ねこねこ幼女の愛情ごはん〜異世界でもふもふ達に料理を作ります!〜5
「エリナ様、ルールー様、ご心配は無用にございますよ」

 いつものように穏やかに言うのはイーシーだ。

「なにが飛んで来ようと、おふたりのお嬢さまに到達する前に、このイーシーがはたき落としますから」

「は、はたき落とすにゃ?」

「……まあ、それもそうね、イーシーがいてくれるから大丈夫だわ」

「すごい信頼感にゃ!」

「だって、イーシーですもん」

 ルールーがほっとしたように言ったので、エリナは『どうやら言葉のあやじゃなくて、物理的にはたき落とすみたいだけど……このおじいさんってばどれだけ強いんだろう?』と、イーシーの顔を見上げた。

 この老従者は控えめでおとなしい普段の姿とは違って、実は誰よりも強い猛者なのである。なにしろ彼の本当の姿は、何十メートルもある巨大な海蛇なのだ。人の姿をしていても、海蛇としての能力はそのまま出せるのである。
 もしも獣人と森エルフが団子になって飛んできたとしても、ルールーとエリナを助けるためならば、その剛腕で躊躇することなく、地面にめり込むまでしっかりとはたき落とすに違いない。

 そんなイーシーを横目で見て、セラは「おおこわ……この爺さんの方に飛んできた不運な戦士よ、安らかに眠れ……」などという物騒な祈りを捧げた。
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