ねこねこ幼女の愛情ごはん〜異世界でもふもふ達に料理を作ります!〜5
『それにしても、捕まえにくいことで有名なクリスタルフィッシュをいとも容易く捕まえるとは……』

 ルディはあどけない寝顔の子猫を見ながら思った。

『もしかすると、エリナは無意識に妖精の力を使っていたのかもしれないな。妖精の粉、と言ったか? あの金色の光に包まれると存在感が薄くなり、警戒心が強い魚もエリナが忍び寄るのに気がつかなかった可能性が高い』

 ルディが目を凝らすと、モフモフ、モフモフとフェンリルの尻尾を揉み揉みするエリナの手から、金色の光が放たれているのがかすかに見えた。

『おいおい、俺にふりかけてどうするのだ』

 これはつまり、彗星を消滅させた時に使い果たした彼女の妖精の力が回復してきたことになる。ルディは安心してから『いや、せっかく回復した力を魚獲りに使ってしまうというのはどうなのだろうか?』と首をひねった。

 しかし、なにしろエリナなのだ。
 むしろ、料理人のエリナ、食いしん坊のエリナが美味しい魚を手に入れようとして、力の回復が早まったのかもしれない。

『まあ、エリナだから仕方がないな』

 ルディは肉球でそっとエリナの頭を撫でた。
 子猫は嬉しそうな顔で「むふん」と言って、気持ちよさそうに揉み揉みを続けた。

『クリスタルフィッシュも災難だったな。気配を感じないなにかが忍び寄り、仲間を一匹、また一匹と連れ去るのだから……』

 ほんの一瞬だけクリスタルフィッシュに同情したルディだが『しかし、美味い魚だった。この国を再訪する時には、ぜひまたエリナにがんばってもらおう』と、ゆっくりと目を閉じた。
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