ねこねこ幼女の愛情ごはん〜異世界でもふもふ達に料理を作ります!〜5
 実はこのフェンリルは、スカイヴェン国の第一王子であり、現在は王都警備隊長として働いているルディことカルディフェン・ラーダ・スカイヴェンの、妖精獣としての姿である。

 彼は顔がそっくりな弟のフランセス王太子に気を遣って、勤務中は頭を狼の姿にして生活している。気が向いたら完全な狼に獣化して暮らしていたのだが、モフモフ大好きモフモフスキーであるエリナがフェンリルの姿を絶賛するので、夜は妖精獣の姿に変わって、その特別にもっふりした尻尾で子猫を温めながら寝ることにしていた。

 過保護な彼は、モフモフした尻尾でくるんでやらないと子猫が風邪をひくと信じているのだ。
 鋭い目つきで王都の細部まで観察して、狼の姿で縦横無尽に走り回る厳格な王都警備隊長が、夜には子猫の口のまわりについたミルクを拭き取ってやる甲斐甲斐しいお父さん狼となっていることに、王都の人々ももう勘づいている。

 ルディは気づいていないようだが頼りになる警備隊長は王都の人気者として有名であり、その養い子であるとびきり可愛らしい勤労子猫はもっと人気者なのであった。
< 2 / 244 >

この作品をシェア

pagetop