ねこねこ幼女の愛情ごはん〜異世界でもふもふ達に料理を作ります!〜5
 網が充分に熱せられたら、お肉の登場である。
 マーレン国の王宮は、柔らかな赤身肉から脂の乗ったカルビ肉(もちろん、細かくサシが入った焼き肉に適したものだ)まで、ユーディリシェイラミアムスが希望する素晴らしい肉を用意してくれていた。

 焼き肉の美味しさに、その人生でも三本の指に入るくらいの大きな衝撃を受け、肉質について大変なこだわりを持ってしまったコレットからの手紙には、焼き肉プロジェクトの司令書と言ってよいほどの詳しさで指示が書いてあった。そして、この有能なドリュアドを信頼するユーディリシェイラミアムスは、それに沿って忠実に準備をしていた。備長炭レベルの高品質な炭も、彼がお付きの精霊たちと試行錯誤して作りあげたのだ。

 これも『ふふふ、コレットはスカイヴェン国で、着実に料理人としての才能を伸ばしているね……これでわたしも美味しいごはんにありつけるよ』という、ユーディリシェイラミアムスの周到な作戦であるのかもしれないが。
 見た目は青年だが大変高齢な守護妖精は、多くの経験に裏づけられた知識を駆使する策士なのだ。

 スカイヴェン国が誇る道具屋のドミークが作ったトングを片手に、同じくニコニコしながらトングを握るユーディリシェイラミアムスの隣りに立って、エリナは大きな声で言った。

「皆さん、ごはんの用意はできていますね?、各々ちゃんと手に持ってますよね? はい、それではまずは焼き肉ごはんをいただきましょう! さっと炙った牛肉をごはんに乗せたら、タレを回しかけて……ひたすら食べます!」

「焼き肉ごはん、だと?」

「その言葉を聞いただけで、俺の胸がときめくぞ」

 エリナの言葉にざわめきが起こり「これは間違いなく、美味いやつだ!」と、戦士たちはごはんが入った器を持って、かまどの前に整列した。

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