ねこねこ幼女の愛情ごはん〜異世界でもふもふ達に料理を作ります!〜5
「エリナちゃん、王家の人が、すごく美味しくて生でもいける、蕩けるくらいのいいお肉を用意してくれたんだ」

「ありがたいことです。ちゃんと伝えてくださったユーさまのおかげですよ」

「ふふふ」

 子猫に褒められて、守護妖精は嬉しそうに笑った。

 ちなみに、焼き肉のタレとレシピをエリナから受け取り、ユーディリシェイラミアムスから炭ももらったため、王宮の庭でも今頃は焼き肉祭りが行われているはずだ。

 炭火で網がかなり熱くなっている。
 エリナとユーディリシェイラミアムスがタレに漬け込まれた肉をトングで挟んで、その上に置いた。
 途端にジュワッといういい音がして、肉が焼ける香ばしい香り、そして炭の上に落ちた脂から燃え上がった煙が肉を包んだ。

「うおおおおおおお」

 堪えきれずに漏れた声が、地響きのように湧き上がった。

「よい肉は、さっと炙れば食べ頃なんです」

「んじゃ、さっさっと」

 ユーディリシェイラミアムスが秒でひっくり返して肉の両面の色が変わると、エリナに「味見をお願い」と肉をふうふうして、口に近づけた。

「あーん」

 素直に口を開けたエリナの口は、その瞬間に楽園と化した。

 目を見開いたエリナはもきもきと数回口を動かすと「肉がとけたにゃ!」と叫んだ。

「すっごく美味しいにゃん! さあ、どんどん焼いて食べるにゃん!」

 目を光らせたエリナは小さな猛獣だった。
 しかし、理性を飛ばしきらないのが料理人エリナなのである。
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