ねこねこ幼女の愛情ごはん〜異世界でもふもふ達に料理を作ります!〜5
「エリナにミメットか。おはよう」

 串焼き肉を片手に持っていてもカッコいい黒豹である。
 王都警備隊員である彼は、実はこの国の宰相の息子であり、ルディの幼馴染みでもある。
 エリナが白猫のフェアとしてルディと会っていたところに遭遇したことがあり、妖精獣ではないかと気づいていた。勘が良くて頼りになるヴォラットと、手練れの冒険者として名高いキジトラ猫の『旋風のミメット』には、エリナの秘密を打ち明けてあった。

「黒豹騎士殿は、朝からがっつりと肉かい。威勢がいいね」

 ミメットに肉を「美味そうだろ?」と見せつけてから、彼は肉にかじりついた。貴族の子息であるヴォラットは、隙のないテーブルマナーを披露することもあるが、こうしたカジュアルな食べ方も平気でする。さらには、エリナから作り方を伝授されたスパゲティナポリタンを、大変上手に作るという特技もある。

「肉を食べないと調子が出ないからな」

 豹は肉食動物なのだ。

「ここの串焼き肉は、俺のお気に入りなんだ」

「いらっしゃい、ミメットにエリナ。焼きたての肉を食べて行かないか? 特製のスパイスで美味いぞ」

 ヴォラットの言葉を聞いて嬉しそうな顔になった串焼き屋のおじさんは、ふたりの猫に声をかけて「お嬢さん方のおなかに余裕があればの話だけどな」と言った。
 串焼き屋はふたりの猫が青弓亭でおなかいっぱいに朝ごはんを食べてきたことをお見通しなのだ。
< 28 / 244 >

この作品をシェア

pagetop