ねこねこ幼女の愛情ごはん〜異世界でもふもふ達に料理を作ります!〜5
「……ミメット姉さん、不思議です。さっきごはんを食べたばかりなのに、お肉の串が気になります」

 じゅうじゅうといい音を立てて焼かれた肉は、こうしている間にもどんどん売れている。岩塩と特製のスパイスで味付けされた肉は、とてもいい香りでエリナを誘っている。

「肉は別腹って……言わないけど……確かにこれは食欲をそそる匂いだね」

「ですよねー」

 顔を見合わせるふたり。猫も立派な肉食動物なのであった。

「親父さん、猫のお嬢さん方に一本ずつ頼む」

「あいよ!」

 黒豹がスマートに串焼き肉を買ってくれたので、耳をぴくぴくさせた猫たちは焼きたての肉を受け取って「ありがとうございます、ヴォラットさん」「ヴォラット、ごちそうさま!」と笑顔でお礼を言った。

 三人は他のお客の邪魔にならないところに行って、肉を食べる。

「……美味しいにゃ!」

「野営の時に食べる肉を思い出すね」

「んにゃんにゃんにゃ……んにゃ?」

 野営についてよく知らないエリナは、首を傾げた。だが、肉を食べる速さは落ちない。
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