ねこねこ幼女の愛情ごはん〜異世界でもふもふ達に料理を作ります!〜5
 子猫は今度は鍋の中にすりおろした完熟の桃と梨、おろしニンニクとおろしショウガ、コショウ、炒りごま、醤油を入れて煮たたせた。

「これは、果物の甘みを生かしたコクのあるタレなのにゃん」

「なるほどね。甘みを加えるのは砂糖とは限らないってことかい」

「そうにゃん。そして、ここで複数の果物を使うことによって、味に深みが加わるにゃんよ」

「そうなんですね。とてもいい香りがしますが、果物が混ざってるとは思えませんね。エリナちゃんの知識ってすごいですぅ」

「うにゃーん」

 さっきからエリナの口調が完全に猫化してしまっているが、ミメットもコレットも鍋の中身に釘づけでまったく気にしていない。

 煮詰めていくうちに、鍋の中身はとろみがついて、いかにも肉に絡めたくなるようなツヤツヤした色合いになる。

「そしてここで、絞ったレモン汁とごま油を入れるにゃん。レモンの酸味と皮の風味が奥行きのある爽やかさをもたらすにゃんよ。そして、香ばしい搾りたてのごま油のコクがお肉の旨みに絡み合って……」

「エリナ、頼むから、早く食べさせておくれよ!」

「まっ、待ちきれないですうーっ!」

 そして三人は、スプーンに乗せたタレを味見して「んんんんんんーっ!」と悶絶するのであった。
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