狼とわたあめ


何か言ってくれてもいいのに。どうせなら、いないだろって笑ってくれたらいいのに。


・・・・・・だめだ。


これ以上一緒にいたら、気持ちが引き戻されてしまう。


無理だから諦めろという頭とは反対に、胸はドキドキと高鳴っているから。


「あの、私、友達探しに行かないといけないので、そろそろ行きますね」


そう告げて、亜美のたこ焼きパックを持ち腰を上げた。


「まだ行くな」


え・・・?


空耳かと思えるくらい想像していなかった言葉に、思わずたこ焼きパックを落としそうになる。


その声の主にゆっくり視線を移すと、漆黒の真っ直ぐな瞳が私を捉えていた。


「ちょっとこっち」


スッと立ち上がった黒田さんはそう言って私の腕を掴んで歩き出す。


・・・・・・え、え!?


なになに、どういう、え、なんで!?


頭の中がパニックだ。

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