フォーチュンクッキー
 聞き返したオレは、その情けない怜の声に思わず笑ったら、サトもつられてた。


 サトはほんの少し涙をにじませていたけれど、気づかないフリをした。



 今まで逃げててごめん。

もうしないから。



「…オレ、ちゃんと学校くるからさ」

 言った瞬間、オレは思い出した。



 一生懸命教科書をめくるアイツの顔。

必死なくせに、どこか楽しそうにみえる…。




 急いで頭からかき消して、目の前で驚く二人に笑った。






「よろしく頼むよ、親友!」


 オレは強めに二人の肩を叩いた。

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