フォーチュンクッキー
――君の親友、ヘンなこといってるよ?

うん、本当に。


――じゃあ、なんでああなったんだろうね?

…なんでだろう?



「未来…?」

 恐る恐るかかる杏ちゃんの声に、はっと我に返った。


危ない、セミと話しちゃった。


「ま、まさか…っ!」

 ヘラっと笑って杏ちゃんの腕をバシっと叩いた。

頼りないあたしの言葉は、どんどん語尾を強めていく。


「そっ、そうだよね~っ…!!」

 杏ちゃんも引きつりながら、乾いた笑い声をあげていた。

何人かのクラスメートはすでにあたしたちを通り越して教室に入っていく。

不気味に笑う、あたしたちを。


 だけど、もしそうだったらと思うと、心臓が今になって走り出した。

血液が猛ダッシュしてる。

手も急に震えて、ありえない妄想に拍車をかける。


「う…」

 あの意地悪も、たまに見せる優しい瞳も、撫でてくれる大きな手のひらも。


あたしのものになっちゃうの…?


「うそだ――――!!」


 叫び声は廊下によく響いてしまった。
< 158 / 506 >

この作品をシェア

pagetop