フォーチュンクッキー
 ほどなくして一日目のテストが終わった。


 まだこれが3日も続くのかと思うとげんなりしちゃうけど、あたしたちには人生にかかわる一大イベント。

ピリピリせざるを得ないのは仕方ない。


 あたしたちが3人で笑いながら帰り支度する姿を、何人かのクラスメートにジト目で見られた。


「いこうぜ」

 先頭を切った雛太にあたしと杏ちゃんはついていった。



 アスファルトが鉄板みたいに熱いし、さらに太陽の日差しも強い。

あたしたちの顔はスグに赤くなってしまう。


「熱い~!」
ってうなだれるのは杏ちゃん。


 いつもそんな親友をあたしと雛太は笑ってみてる。

 そうしたらさっきの雛太を思い出しちゃって、なんだか恥ずかしくなった。


 背もいつの間にかあたしたちを通り越しちゃって。

歩幅も今は合わせてくれるけど、随分伸びた足や広くなった背中。

急にオトナに近づいていくような錯覚に襲われる。


 そんなことないのに。


 肩をぐったり落としていた杏ちゃんは「あ!」となにかひらめいたように、楽しそうに振り返った。

「未来、喫茶店いこうよ!」

「えぇ!?ちょっと、それは…っ!」

 ちらりと雛太を見ると、案の定ビックリしてた。


 初めて会ってから太一さんとはピリピリしてるから、なるべく穏やかにすごしたいのに。



< 161 / 506 >

この作品をシェア

pagetop