フォーチュンクッキー
「おいしいカフェオレを飲みながら、久しぶりに3人で勉強しよう!」

 さっきまでうなだれていた姿とは打って変わって、今にもスキップしそうな杏ちゃん。

こうなったら止めらんないから、仕方なくとぼとぼ歩き始めた。


まだこれからいく喫茶店のことは雛太に話せていない。

だからものすごく、怖いんだ。



 カラン、と扉を開いたのはあたし。

いつもの見慣れたカウンターが見えて、奥からマスターがやってきた。

「いらっしゃい、未来ちゃん。…と、お友達?」

 あたしの後ろに現れた杏ちゃんと雛太を見て、にっこり出迎えてくれた。

「こんにちわ!」

 元気な挨拶な杏ちゃんとは反対に雛太は驚いていた。

「初日のテストはどうだった?」

 香ばしい匂いを漂わせながら、あの優しい笑顔。

なんだか申し訳ない気持ちもあったけど「自信ないです」ってあいまいに答えておいた。


 両隣に座った二人は、やや緊張気味にマスターの手元を眺めていた。

「はい、どうぞ」

 すばやく3つ出てきた細長いグラス。

すでにグラスは温度差で曇りかけていて、ひんやりと流れる冷房の空気も足りていなさそうだ。

「いただきます」

 早速ストローに口をつける。


 …やっぱ、太一さんのカフェオレとは違う。

最近は飲みなれたけど、ずっと太一さんのを飲んでいたからなんだか変な感じがする。



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