フォーチュンクッキー
「まあ、太一さんの気持ちもわからなくはないですね」

 そういって隣のひまわり色の彼女もクスリと笑った。




 …―今日は花火大会の日。

 本格的に夏に入り、夜になってもセミの声が響いていた。


そしてココに来たのは、チビ助たちのご褒美でもある。



「うーん…」

「…うう~…」


 オレの唸り声にしょぼくれる彼女と迎えた2回目の試験の結果は、かなりビミョウ。

期末試験はざっとみて平均80点ほどといったところか。


まあ、今までが今までだったから成績は上がると思うんだけど。


 チビ助は覚えているのだろうか?

 あの約束を。


『期末で85以上とったら答えを教えてやる』


 そういったのはいいけど。

言うつもりなんてさらさらなかったから、ある意味成功だ。


 それでももう少し残念がってもいいはずだ。

きっとこのリアクションからは忘れている、もしくは分っていないのどちらか。


 …ま、いいんだけどね。


 その代わりといっては何だけど、学校の終業日でもある今日は花火大会に連れ立ってやってきた。


 川原であげる花火は、数は少ないもののこの辺じゃちょっとしたイベント。

夏本番ということもあり、周りにはカップルや家族連れも目立つ。


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