フォーチュンクッキー
 音が鳴るたびに、胸の鼓動なのか音からの振動なのかわからないくらい、体がしびれる。


「ねえねえ、綺麗だね!!」


 振り向いてきたチビ助に、オレたちは顔を合わせて笑った。

嬉しそうなその笑顔の向こうには、さらに輝かせるような光のシャワーが降り注ぐ。


 ゴロンと寝転ぶと、音の隙間に、オレは言葉を続けた。



「…好きだよ」

 それが聞き取れたのかわかんないけど、彼は顔を向けてきた。



「だけど、まだ言わない」

 それだけ言って、オレは広い空を見つめた。




 花火が終わると、一斉に回りも移動を始めた。

オレたちもゴミや荷物を持つと芝生を上り始める。


「ほら」

 下駄のチビ助に手を差し出すと、一瞬驚かれたけど嬉しそうにオレの手を掴んだ。


「綺麗だったね!」

「未来、そればっかり」


 その笑い声が、今のオレには十分だ。

静かになった道に、二人の下駄がカランと鳴った。



「…やっぱ、だめだ」


 そう呟いたのはオレじゃなくて、隣にいた雛太くん。


「え?」

 聞き返す間もなく、彼は少し先にいるその小さな手を引いて走る。

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