フォーチュンクッキー
「ちょ、ヒナ!?」

「ひ、雛太っ…!」

 二人の驚いた声は、チビ助をつれた彼の背中は空に消えていった。

オレは呆然としたものの、彼の行動の意味を察してしまい、ただぎゅっと拳を握っただけだった。


「…た、太一さん!追いかけて!!」

 一緒に取り残された杏ちゃんに背中をバシンと叩かれる。


「え、でも…」


 雛太くんがどうしたいのかは分ってる。

それを邪魔する権利は、今のオレにはないはずなんだ。


 口ごもるオレの腹に、ブンと風を切った彼女の巾着がヒットした。


「未来がとられてもいいの!?」



 その言葉に、怜の顔がよぎった。




『…―また、もってかれちゃうよ?』




 そういわれた気がした。



「…ごめん、気をつけてね?」

 コクリと頷いたのを確認すると、彼女の肩を優しく叩く。



 今更かもしれないけど、オレは消えた二人の方向へと走り出した。

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