フォーチュンクッキー
「メシでも…」

 いいかけたそのとき。


「平山先輩!」


 少し高めの声でかけよってきたのは、ふわふわ娘。

相変わらず小さな花を飛ばしているようだ。



「どうしたんですかー?…って、あら?」

 オレの背後をちらりと見ると、何かに気づいたように怪しく笑う。


 こういうところ、怜にそっくりだ。


「こないだの『妹チャン』?」

 可笑しそうに目を細める。

 チビ助はというと、ちょっと気まずそうにチラチラ彼女を見ている。


「松永さん、それくらいにしておいてあげてくれない?」


 さすがに、チビ助相手では怜や彼女の独特の会話はあんまりだ。

だけどそれで下がるような彼女じゃない。


「えー、先輩冷たい~。長谷川先輩呼んじゃいますよ?」

 反抗的な目をむけてくる。


 本当にチビ助とかぶる。

少し上目遣いなところや、頬をほんのり膨らませるところか。



「怜がいるわけ…」

 ため息混じりのオレの言葉は、にっこりと笑う彼女に遮られる。


「今日、部活にきてるんですよ」


 そういうなりオレの腕を掴んでぐいぐいと引っ張る。


「え、ちょっ…」

< 198 / 506 >

この作品をシェア

pagetop