フォーチュンクッキー

 …どうしたらいいの?


「きちんと言えばいいだろう?」


 …ほら、太一さんの声まで聞こえてきちゃったよ。


「一緒に言ってやるから」


 温かい手のひらが後ろからあたしの頬をかすめる。
直後、背中にぴったりと広がる人の体温。


 え…?

 驚きすぎて声も出ず、ゆっくり見上げた。


「なんて顔してるんだ」


 あったかい笑顔が降って来た。


 紛れもない、大好きな人。



「太一さん…?」


「心配で、自主早引きしちゃった」


 クスリと笑うとコーヒー色の髪が揺れて、甘い香りがした。

 思わず握りしてめいた缶を落としてしまった。



「動揺しすぎ」





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