フォーチュンクッキー
少し皺になってしまっていたけれど、用意していた一枚の紙切れをおじさんに手渡した。
「これ、オレの連絡先です。何かできることがあれば」
書いておいたメモをおじさんに渡すと、なにも言わず微笑んで受け取ってくれた。
もう一度会釈して、静かに病室を出た。
少しあわただしそうに、看護士さんたちが行きかう中、パタパタと足音が近づいてきた。
「太一さんっ」
あわてて追いかけてきたチビ助だった。
心配そうな顔は、きっとオレのことだろうな。
「さっきのは嘘じゃないよ、今、学校では準備中。 まぁ、自主早退も事実だけどな」
「そ、そうなんですか…」
オレの言葉に少し安心したようだった。
見上げてくるチビ助の透き通るような瞳が揺れる。
……ああ、やばい。
いつの間にか、愛しくて小さな背中に手を回して腕に閉じ込めた。
「た、太一さんっ?」
焦って上ずったチビ助の声は、今のオレには心地いい。
今ごろなんだよ。
「あー…。緊張したぁ…」
心臓が頭にあるみたいだ。
どくんどくんと、一気に全身に血が巡るようで、呼吸を今思い出した気さえしてくる。
そんな中、かすかに腕の中でちび助が震えた。
「これ、オレの連絡先です。何かできることがあれば」
書いておいたメモをおじさんに渡すと、なにも言わず微笑んで受け取ってくれた。
もう一度会釈して、静かに病室を出た。
少しあわただしそうに、看護士さんたちが行きかう中、パタパタと足音が近づいてきた。
「太一さんっ」
あわてて追いかけてきたチビ助だった。
心配そうな顔は、きっとオレのことだろうな。
「さっきのは嘘じゃないよ、今、学校では準備中。 まぁ、自主早退も事実だけどな」
「そ、そうなんですか…」
オレの言葉に少し安心したようだった。
見上げてくるチビ助の透き通るような瞳が揺れる。
……ああ、やばい。
いつの間にか、愛しくて小さな背中に手を回して腕に閉じ込めた。
「た、太一さんっ?」
焦って上ずったチビ助の声は、今のオレには心地いい。
今ごろなんだよ。
「あー…。緊張したぁ…」
心臓が頭にあるみたいだ。
どくんどくんと、一気に全身に血が巡るようで、呼吸を今思い出した気さえしてくる。
そんな中、かすかに腕の中でちび助が震えた。