フォーチュンクッキー
「太一?」

 ピタリと止まってしまった足。

そんなオレを、カワイイつぶらな瞳でサトは覗き込んできた。


 申し訳ないと思いつつ、誤魔化すようにまた歩みを進める。


「……大体は、決まってるよ」

 通り越し様に小さく呟く。

「なんでそこで濁すのよ!」

 そんなオレに、サトはもうっ、と呆れていたけど、その隣の怜は更に笑っていた。

「うっわ、太一らしい〜っ」


 二人とも、やっぱり笑ってくれていたんだ。



 すでに校門は見えており、見慣れた制服の群れがぞろぞろと中へ入っていく。

サトと怜に追い付けるように、片足だけペダルにのせて、先に校門をくぐる。


駐輪場に自転車を停めて昇降口に向かうと、ちょうどよく合流できた。


「あ、そうだ、忘れないうちに」


 そういってかばんを漁り出したのはサト。


「はい、クリスマスと誕生日プレゼント」


 手のひらに乗っているのは、ブルーのリボンがついた透明のビニール。

丁寧にラッピングされていたけど、その中身はきっとサト特製なのだろう。


……しかし、よりによって。


「クッキーかよ」


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