フォーチュンクッキー
 クッキーはチビ助の十八番。

そんなオレの声が聞こえてしまったらしく、目の前にはすねたサトの顔。


「そんなこと言うなら、やっぱあげない!」

「えっ、あ、いや……そういい意味じゃ…」


 慌てて弁解するも、ぷいっと背を向けられてしまいおたおたする一方。

ここぞとばかりに、怜は嬉しそうに会話に参加してきた。


「じゃあオレがもらっておくよ」


「怜っ!」


 見事に、オレとサトの声が重なった。



 それからサトにはなんとかご機嫌を直してもらい、無事にプレゼントをもらえた。

まじまじと手にとってみてしまう。


「それにしても、気が早いな。誕生日って三週間後じゃん」


 なんの皮肉かわからないけど、オレが生まれたのはクリスマスイブ。


 ここ数年は一人で過ごしてた。

好きだった人は、過去二年彼氏といたし、母親も気付いたらずっと仕事だったから。


オレは、喫茶店でいつもと変わらない時間を過ごしていた。


「太一ってホントに鈍いよな」

 ふと過去に浸っていたオレに、肩を揺らして笑う怜。


「………なにがだよ」

 じろっと睨み付けると、その隣で揃ってサトもため息をついた。



「一緒に過ごすんだろ?未来ちゃんと」


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