フォーチュンクッキー
 意思。

そんなことよりも決意の方が勝る、……はずなんだ。


 間違ってるのかなんてわからない。

なんでも決まっていくことに振り回されるなんて、チビ助だけそんな想いさせるわけにはいかないんだ…っ。


 奥歯が不自然にギリリと鳴り、いつの間にか体が強張っていた。

オレの様子に気づいたのか、怜ははぁ、と力なくため息をついていた。


「お前の気持ちもわからなくはないけど、中学生相手に冷静になりすぎ……」

「冷静なんかじゃないっ」

 多分、和ませようといってくれたんだと思う。

それでも、その言葉を聞き逃すことなんて出来なかった。


 散々悩んで、オトナの振りして選んだことだったから。


「……わかってるんだ。オレだって選べない。
なのに、それをチビ…いや、未来ひとりに押しつけて」


 本当はオレがあいつに甘えてる。


「オレだって……どうしていいかわからないんだ。あいつの悲しい顔みてると、すごく不安になる」


 このまま離れて、あの大きな瞳が揺れたら誰の胸に埋めるのだろうか。

首をかしげて揺れるあのクセ毛は、どんなヤツに触れられてしまうのか。


 考えるだけで、腹立たしい。

なによりも。



「手の届かないところで、ああして泣かれるのかと思うと、はがゆくて……悔しいんだ」


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