フォーチュンクッキー
 それ以上、距離ができるのが怖くて、告白できないでいた。

しかし、その数年後に実は両思いだってわかったわけだけど、すでにオレの心の片隅にあいつがいた。


 サトは、恋愛感情抜いたとしても、きっと大切な人に変わりはない。

だから友達でいたい、と伝えることができたんだ。


 他でもない『今』だから。


 急に、コポコポと割って入るようにコーヒーメーカーが動き出す。

まるで後押しされているかのようだった。


「オレ、かっこわりぃな」

 留学することを決めたことだけ、言えばいいと思ってた。

だけどそれは、オレのエゴだったのかもしれない。

「本当にな」

 クスリと笑みを含んだ怜に、なんと言っていいか分からない。


 一ついえるとしたら。

やっぱり、怜は怜だよな……ってことかな。


「こんなんじゃあいつに愛想尽かされても仕方ねぇな」


 自分が情けない。

笑っていてほしいのに、ずっと遠回りばかりで。


 オレがチビ助を好きな気持ちに変わりはないはずなんだ。


「ああ、そうだな。
………だけど、未来ちゃんはそんなお前が好きなんじゃないの?」


 チビ助からもらう気持ちに、絶対の自信はないけれど。

それでも、雛太くんよりオレを選んでくれたっていう事実はあるのだ。


 少なくとも、もっとチビ助に近い存在になれるはず。



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