フォーチュンクッキー
 藍と橙のコントラストは、まさにオレの心とシンクロしてるみたい。

小さなチビ助の声に、大袈裟に肩が揺れてしまった。


「いきなり来て、ごめんなさい……」


 さっきもかなりゆっくりとした足取りだったけど、今はほとんど止まっている状態だった。


「そ、そんなこと……」

 やんわり否定したつもりだった。

でも、必死な瞳でチビ助は見上げてきた。


「嘘つかないでください!……昨日、あんなこといったくせに…あたし……」


 すっと伏せたまつげは微かに震えている。

そんなチビ助に何をいってやればいいのか、悔しくなるほどわからない。


「嘘…じゃないよ」


 とりあえず、出た言葉がそれだった。

もっといってやりたいことがあったはずなのに、すっかり頭から消えてしまって思い出せなかった。


 だけど、意外にもチビ助は驚いた顔をしていた。


「うん、そりゃあちょっとは驚いたけどさ。………それよりも…嬉しいよ」


 こんなことまともに言うなんて恥ずかしすぎる。

語尾は弱くなってしまったけど、俯いてしまったけど、なんとか口にできた。


「……太一さん…」


 チビ助の小さく呼ぶ声が、くすぐったい。

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