フォーチュンクッキー
 聞きなれた声が脇から届く。

その方向に目をやると、いつもはちょこんと結ってる髪も下ろして、寒そうにグルグルとマフラーを巻いたサト。

そして、相変わらずニコニコと大きな体を身軽そうに揺らす怜。


「おお、未来ちゃんも一緒じゃん!」

 嬉しそうにオレたちの顔を見比べた怜は、うんうん、と大きく頷き始める。


「そっかそっか、ヨリ戻し……」

「…………」

「…………」


 さすがに怜のそのさきの言葉は、チビ助も察したのか、気まずそうに俯いていた。

すると、こそこそとサトが怜を小突く。


「ちょっと、怜!気まずくさせてどうすんのよ!」

「だって……!」


 焦っている二人の後姿。

もじもじと困惑するチビ助を、オレは横目で見ていた。


 なんとか空気を換えようと思ったのだろう。

サトは引きつった笑顔でオレの肩をばしばし叩いてくる。


「そ、そういえば太一!プレゼントのクッキー食べてくれた!?」

「あ……っ」


 更に、地雷。

なんとなく、隣を見るのが怖い。


「くっ、きぃ?」

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