フォーチュンクッキー
 キーンコーン…と試験を終わらせるチャイムが校内に鳴り響く。

オレはそそくさと帰り支度を始めた。


「太一、帰ろうぜ」


 まだ初日だというのに達成感たっぷりの怜に、その筋肉質な腕でガッチリと肩をつかまれた。


 オレだって男だしそれなりに体も動かしていたけれど、怜には勝てる気がしない。


「サトと帰れよ…」

 半ば強制的な怜にオレの反撃は、淡くも消える。


「ほら、いくぞ」

 ため息をついて、素直に従うしかなかった。




 空しく男二人で帰路につく。

 なんとなく予想はつくものの、なんと切り返そうかカバンを肩にかけなおしながら悩んでいた。


「それで!?なんのバイトだよ!」


 …やっぱり。

まだ答えも考えていないのに。


 呆れて肩の力も脱けてしまった。


「……“先生”のバイト」


 オレは素直に答えてから気づいた。

いや、給料もらってないからバイトではないかも。



 怜は少し考えた後、顔を近づけこっそり耳打ちしてきた。





「そのシチュエーション、エロくね?」


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