フォーチュンクッキー
白い息が、高低差を作りながら曇り始めた空に消えていく。
商店街に残るわずかな灯りは、やはり寂しさを増幅させるよう。
「…あ、あの…太一さん……」
申し訳なさそうに切り出したチビ助の声。
目もあわせず、オレの前でただ大きな白い息がふわりと溶ける。
「……もしかして、昨日のこと?」
あてずっぽうだったのだけど、ピクンとチビ助の肩が震えた。
図星だったのか。
薄暗くなったことを味方につけ、ほんの少し、素直になる。
「本気、だよ」
「…………っ!!」
「半分ね」
バッと勢いよく顔をあげてきた。
だから、わざとおどけて見せるようにチラリと視線を落とした。
「どれが正解なんて、オレにもわからない。でも、確実に時間は減っていって、決めなきゃいけないときは必ずやってくる」
「太一さんも……迷ってますか?」
思い出のつまった公民館の前を通り過ぎ、門松が並ぶ商店街も残り僅か。
肩を並べて歩く時間も、刻々と迫っている。
「じゃあ、反対に聞くけど。迷わないヤツっていると思う?」
かなり自分でも意地が悪いと思う。
けど、オレとチビ助は同じラインに立っているんだ。
それをわかってほしい。
チビ助の薄い肩にかけていたカバンの紐が、小さな手のひらでぎゅっと握られていた。
商店街に残るわずかな灯りは、やはり寂しさを増幅させるよう。
「…あ、あの…太一さん……」
申し訳なさそうに切り出したチビ助の声。
目もあわせず、オレの前でただ大きな白い息がふわりと溶ける。
「……もしかして、昨日のこと?」
あてずっぽうだったのだけど、ピクンとチビ助の肩が震えた。
図星だったのか。
薄暗くなったことを味方につけ、ほんの少し、素直になる。
「本気、だよ」
「…………っ!!」
「半分ね」
バッと勢いよく顔をあげてきた。
だから、わざとおどけて見せるようにチラリと視線を落とした。
「どれが正解なんて、オレにもわからない。でも、確実に時間は減っていって、決めなきゃいけないときは必ずやってくる」
「太一さんも……迷ってますか?」
思い出のつまった公民館の前を通り過ぎ、門松が並ぶ商店街も残り僅か。
肩を並べて歩く時間も、刻々と迫っている。
「じゃあ、反対に聞くけど。迷わないヤツっていると思う?」
かなり自分でも意地が悪いと思う。
けど、オレとチビ助は同じラインに立っているんだ。
それをわかってほしい。
チビ助の薄い肩にかけていたカバンの紐が、小さな手のひらでぎゅっと握られていた。