フォーチュンクッキー
 その言葉に一瞬身体が強ばったが、キッと少し見上げて睨みつけた。


 恐らくすこし火照ったであろう顔も、この際仕方ない。



「あいつは中学生だぞ!」

 思わず周りも気にしないで声を荒げてしまった。



 集めてしまった視線に気づいて、軽く咳払いをして声のトーンを直す。


ニヤニヤする怜をさらに笑わせる結果になってしまったことが悔しい。


「ったく、ナニ言わせんだよ」



 そうだよ、しかもあのチビ助だぞ!?


 目がまんまるで、ちょこちょこした動きして。

それでもって、よく落ち込んだり笑ったり忙しいヤツなんだ。


 思い出すだけで笑えてくる。



「でも楽しそうだネ」


 怜の言葉に驚いて我に返る。


「……はぁ!?」


「顔、笑ってるよ?」


 ニッタリとする怜に指摘されて気づいた、緩んだ口元。


 怜にいわれるっていうのがシャクに障るけど、紛れもない事実だった。

隠すように口元を押さえて、言葉をさがす。


「ちゅ、中坊は犯罪だろう?」

< 44 / 506 >

この作品をシェア

pagetop