フォーチュンクッキー
……―嘘、だったんだ。
そんなことまで気づかなくって、あたしは本当に大馬鹿だ。
「…じゃ……もん…」
糸のように細い杏ちゃんの声は、やけに教室に響く。
息を呑む音すら、あたしの耳に届いた。
「なんなんだよ!?」
それからなかなか話そうとしない杏ちゃんに、雛太は怒りの頂点に達してしまったのだろう。
責め立てるような口調と言葉に、あたしも泣きそうだった。
けど、震えた声で杏ちゃんは泣き叫んでいた。
「嘘じゃないもん!…本気だもん……っ!!」
漏れてくる嗚咽が、体中を歯がゆさで支配していく。
何も気づいてあげられなかった自分が、ものすごく腹立たしくて。
「……キョ……ン…っ?」
すっとんきょうな声を出した雛太。
「バカバカバカバカ!ずっと片思いしてたのは自分だけだと思うな!!」
大きな杏ちゃんの声が聞こえた直後、ガタガタと机が動いた音。
すると、いきなり目の前の扉がガラリッと勢いよく開かれた。
「……み、らい…っ」