フォーチュンクッキー
 キンと冷え切る廊下に、ビターンッ!と痛々しい音が鳴り響く。

手のひらはジンジンするし、膝は擦れたのか不似合いなほど熱い。


「いったぁ……っ」

 四つん這いになったまま、そのタイルがポタリとシミを作った。

廊下なんだから、雨が降っても関係ない。



 ああ、そうか、あたしの涙か──。




「ふえ……っ…」


 ホント、あたしって無力すぎる。

大切な友達一人、追いかけられないなんて。


 頭がガンガンするくらい、悲しくて寂しい。


「うえぇぇ…っ、杏、ちゃぁん……」


 何個も何個も、涙が廊下の上にたまっていく。

溢れるときは熱いのに、触れるとひんやり冷たくて……やけにキモチワルイ。


「待って、よぉ……」


 もう杏ちゃんの隣にいられないの?

一緒に、また馬鹿みたいなことでたくさん笑いたいよ……!!



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