フォーチュンクッキー
「……ホラ、これつかって」


 ぼやけた視界に差し出されたのは、見覚えのあるピンクの花柄ハンカチ。

ゆっくりと見上げたソコに、あたしはもっと涙が溢れた。



「未だに転ぶのね…?」



 困ったように笑ったのは、あたしの大親友。


「…きょ……」



 ごめんね、とか。

 ありがと、とか。


いっぱいいっぱい、伝えたいことはあるんだけど。



でも、なかなか思うとおりに声が詰まって喉を通ってくれないから。





 とりあえず―……





「杏ちゃぁぁあぁんっ……!!」


 熱い涙と共に、優しいぬくもりに抱きついていた。





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