フォーチュンクッキー
教えた連絡先はチビ助に使われたことは、未だない。
何かあったら────いや、何もなくたってよかった。
こんなオレにだって、今ごろどうしてるだろうかと思うときくらいある。
まあ、今どき携帯電話をもたないチビ助が、そう頻繁に連絡してくるとも思えないのだが。
俯いたオレは、くすっと笑わられた。
「太一ってさ。結構、辛抱強いわよね」
皮肉っぽい感心を交えたサトの言葉は、なんだかくすぐったかった。
その直後のこと。
作業の邪魔にならないように、と、ジーンズのポケットにねじ込んでいた携帯電話が震えだす。
慌てて開くと、そこには名前も表示されない十一桁の携帯番号。
「………知らない番号だ」
「イタズラ?」
覗きこんできたサトは怪訝そうに見てた。
けれどサトの心配をよそに、長くコールされるその発信にごくりとつばを飲み込んで、オレは応じた。
「──もしも…」
受話器の向こうでは、キャーキャーと人がざわめく音が一番最初に聞こえる。
「なんだ、これ?」
思わず口にした瞬間だ。
『あっ……、え?……ぁ、やっ、ちょ……っ』
慌てふためく女の子の声。
だけど、どことなく聞き覚えのあるもので…しかし雑踏にまみれて正確には聞き取れなかった。
何かあったら────いや、何もなくたってよかった。
こんなオレにだって、今ごろどうしてるだろうかと思うときくらいある。
まあ、今どき携帯電話をもたないチビ助が、そう頻繁に連絡してくるとも思えないのだが。
俯いたオレは、くすっと笑わられた。
「太一ってさ。結構、辛抱強いわよね」
皮肉っぽい感心を交えたサトの言葉は、なんだかくすぐったかった。
その直後のこと。
作業の邪魔にならないように、と、ジーンズのポケットにねじ込んでいた携帯電話が震えだす。
慌てて開くと、そこには名前も表示されない十一桁の携帯番号。
「………知らない番号だ」
「イタズラ?」
覗きこんできたサトは怪訝そうに見てた。
けれどサトの心配をよそに、長くコールされるその発信にごくりとつばを飲み込んで、オレは応じた。
「──もしも…」
受話器の向こうでは、キャーキャーと人がざわめく音が一番最初に聞こえる。
「なんだ、これ?」
思わず口にした瞬間だ。
『あっ……、え?……ぁ、やっ、ちょ……っ』
慌てふためく女の子の声。
だけど、どことなく聞き覚えのあるもので…しかし雑踏にまみれて正確には聞き取れなかった。