フォーチュンクッキー
 周りも騒がしかったし、離れていたのもあって何を話しているのかは全くわからない。

でも、照れたように困ってた。


 なぜかもどかしい気持ちになって、無性に身体がリキむ。

そんなときに、真横から降ってきた声。


「アンタも、来月からはここの生徒だって?」

 隣のサトさんは、腕組をしながら天を仰いだ。


 こんなキレイなサトさんと、こんなちっちゃいあたしが肩を並べている。

それこそ、月とスッポンな気がして余計に居づらい。


 チラリと横目で見上げれば、サトさんは柔らかな視線を太一さんに送っていた。


 やっぱり、スキ……なのかな?


 あたしが中途半端に後悔しているとき。

たきつけるように口にした言葉は、やはり本当のことだったのかもしれない。


「せいぜい頑張るのよ?」

 ふ、と微笑んだサトさんは、とても三歳差だとは思えないほどキレイだった。



 頑張る─……それはこれからの学校生活のこと?

それとも、太一さんを諦めてないよっていうこと?


 ぐるぐる疑問が頭を回っていた。


 キレイな笑顔に見とれながらも、声に出せない疑問に悩まされてたあたし。

聞くのも怖くて、ああでもないこうでもない、とモジモジ身体を揺らしていたら、不意に声がかかる。


「来てくれてたんだ?」


 すこしビターな低い声。

ゆっくり影を見上げれば、そこには青空が似合う太一さんが卒業証書を片手に笑っていた。


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