フォーチュンクッキー
 甘い吐息が、切ない。


 涙が止まらない……──笑えない。

伝えたいことがあるのに、嗚咽が邪魔をする。



 この息遣いも、ぬくもりも。

明日からなくなってしまうの?



 熱い涙は、どうやって拭っていいかわからない。



 太一さん。

本当はこんなに、ダイスキなの──



 疲れた、なんて嘘。

全部、あたしをみてほしいワガママだった。



 好きで、好きで──……たまらなく、大好き。



 だから─……



 そっと耳元で呟いた太一さんの声が、あたしを痺れさせた。




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