フォーチュンクッキー
 結局、怜にサトの話はできずに学校が終わった。

 いつの間にかチビ助のことも忘れて、哀しそうにはにかむ怜の顔だけが頭の中をぐるぐる回ってた。


 足はいつもどおり喫茶店に向かう。

鈴の音を立てて扉を開くと、珍しくマスターがいなかった。


 そして、そこにはいつもの席に女の子が座ってた。


本来ならカウンターの下にあるカゴからエプロンを取り出して、そそくさとカフェオレの準備をする。


 でもオレにはただ、その後姿をみつめることしかできなかった。



 足を動かそうと思っても、根が張ったかのように動かない。


そんなオレに気づいたのか、ゆっくりと身体をひねってゆっくり振り向いてきた。



 そこには、すこし濡れた頬をしたオレの…。





「サト…?」



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