フォーチュンクッキー
その向こうからひょっこりと、見慣れた親友たちの顔が並んだ。

「雛太もだ~」

 飛び跳ねるようにお父さんの鋭い視線を無視して駆け寄った。


走るとよくわかる、ちょっと汗臭い自分のパジャマ。

でも久々に会えた杏ちゃんと雛太をみて、すごく嬉しかった。


「未来、着替えたほうが…」

 雛太気まずそうに視線をずらす。


ああやっぱりこの格好はダメかなぁ、なんて思ってお父さんの隣ついた。

 何も言わないお父さんは何かにあせったように、洗面所に向かってしまった。


「あ、あのね、未来…!」

 ちょっとうろたえた杏ちゃんの言葉と同時に、閉じかけた扉がまた開いた。


そこには予想外の人。


「た、たたた…っ」

 声がうまく出なくって、更にあせった。





「風邪なのに平気なのかよ、チビ助」


 意地悪そうにいうのは、紛れもなく太一さんだった。
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