フォーチュンクッキー
「あ、そうそう。これが学校で出されたプリント」


 杏ちゃんは手早くかばんから紙束を出した。

“先生”の前で敢えて出さなくても、っていうあたしの気持ちは二人には通じていない。


隣をみるのが怖くって、目の前に座る杏ちゃんと雛太を見比べた。


「あの」

 切り出した雛太にあたしは少しほっとした。

でもそれもつかの間。


「未来とどういう関係なんですか?」

 怪訝そうな雛太の表情。


 なんにも話していなかったから、そりゃびっくりするよね。


「あ、あのね、雛太…!」


 どこから説明すべきなのかわからなかったけど、きっとあたしたちは“先生”と生徒なわけで。

単純だけど、なんだか複雑に思えた。


 戸惑ってるあたしをよそ目に、太一さんはこらえきれずに笑い出した。


「…なんで?」

 頬杖をついて、あの意地悪そうな笑顔で雛太を見ていた。

そんな太一さんを、雛太は不機嫌そうに睨みつけてる。


「ここに連れて来たのは僕たちでしょう?大事な友達の家なんだから!」

 少し荒くした声の雛太をみるのは、本当に久しくて杏ちゃんと二人で目を丸くした。
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