フォーチュンクッキー
 前回の分まで取り戻そうとノートを必死に取っていたら、あっという間に昼休みがやってきた。

 チャイムと同時に、机をガタンと向きを変えてくっつけてきた杏ちゃん。


「未来、大丈夫?」


 かわいい赤のお弁当袋を解いて、小さな箱を取り出した。

 まさに天からの救い。


「杏ちゃーん、ノート貸してぇ~」


 もちろん板書の写しは間に合ってなんかなくて、最後の手段だ。


 切実なあたしの声に、仕方ないなぁと、引き出しから午前中やった科目のかわいいノートを出してくれた。


 姉御肌な杏ちゃんはこういうときはすごく頼りになるんだよね!


 カバンから、今朝作ってきたおにぎりを頬張りながら、必死にペンを動かした。


「あれ、雛太?」

 杏ちゃんの声にワケもわからずドキリとした。


 後ろから椅子をギィっと引く音がして、ノートを写していたのもあるけど、振り向けないでいた。


 いつもは一緒にお昼を食べるけど、昼休み早々立ち上がる雛太。


 やっぱり避けられてるんだ。


親友が離れていくようで、ものすごく寂しい。



「…バスケの、昼練いってくる」


 あたしがここにいるから?


なんて聞けるワケがなくて、言い訳っぽい雛太の言葉を素直に受け取れなかった。

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