フォーチュンクッキー
 ぱくぱくと箸を動かす杏ちゃんに、視線を落としたまま呟いた。


「あたし、雛太に嫌われちゃったかも」

 なんだかんだずっと一緒にいた3人が、遠くにバラバラになっちゃうようで怖い。

身に覚えはないけれど、あんな雛太、今まで見たことなかったから。


 落ち込むあたしをよそに、杏ちゃんはぶっと噴出した。

その反応に驚いて顔を上げるとまじまじと見つめられた。


「未来、本気で言ってんの…?」

「え?」


 どうやら杏ちゃんは理由を知っているみたいだ。


「雛太、昨日からおかしいでしょ?あたし、きっとなにかしちゃったんだよ」

 思い出そうとしても全然わかんなくて、杏ちゃんが最後の頼みだった。


 あたしの言葉を聞いて、目の前で更に可笑しそうに笑う。

杏ちゃんはようやく笑いが落ち着くと手をヒラヒラさせた。


「まあ、アレだね。ヒナの反抗期みたいなもんだよ」


 ふーん。


 あたしのこの感想が伝わったのか、杏ちゃんは取り繕うようにあたしの頭を撫でてきた。


「ヒナもああ見えていろいろ悩んでるんだよ」

 言ってくるまでそっとしておこう、ってことね。

…だけど、納得なんていかないよ。

ものすごく怒ってたもん。


 梅のおにぎりを食べ終えて、二個目のおにぎりに手を伸ばす。

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