広い空を見上げる最愛の小さなきみに secret love

「ん? どうした?」
急に無言になった私に、誠が私の瞳を覗き込む。甘くて本当に愛しそうに見つめてくれる彼に、そんな不安を持つことはない。
それはわかっているのに。

「なんでもない」
「嘘だ。俺にそれ通用すると思う?」
「思わないけど……」

家出をした過去や、喧嘩をした日々を経て、お互い隠し事ができない。
産休を取って数週間、声をかけられる姿を見ても、きっぱりと断る姿をみてきたからよかったが、今はそうではない。

「じゃあ、なに?」
「会社で声かけられる? 相変わらず」
まさかそんな子供みたいな言葉が私からでるとは思っていなかったのか、誠は一瞬ポカンとする。

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