真夜中の果て ー文芸部コンビの事件帳ー
第一章
第一話 はじまり
「……死んだって!時田 千世!」
県立第二高校。
朝のショートホームルームの前。
二年三組の教室に走って入って来た水元くんが、青ざめた顔で言った。
廊下側の列の一番後ろの席で、私、藤沢 彩葉は黒くて丸い眼鏡の鼻当て部分を指でおさえて、眼鏡のズレを直した。
二年六組の時田 千世さんは、今朝早く。
裏庭で倒れていた。
部活の朝練に来ていた他の生徒が、倒れていた時田さんを発見したらしい。
「嘘……、嘘だぁ、適当なこと言わないでよぉ」
窓際の列、後ろから二つ目の席に座る、堀川さんが言う。
「水元の言うことなんか、あたし信じないんだからね」
「はぁ?何だよ、オレが嘘を言ってるって?」
「じゃあ、なんで千世が死んだってわかんの!?」
教室がしんっと静まりかえる。
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