真夜中の果て  ー文芸部コンビの事件帳ー

唐沢くんは「そうなんですか」と頷いた。



「あの日、確かに俺は中庭にいました。次の大会のことで、顧問の水川先生に呼び出された五人は、先生からアドバイスをもらっていたんです」

「じゃあ、五人の人と水川先生は時田さんが発見された時の悲鳴を聞いているんですよね?」

「はい。女子ソフトボール部の人だと思います。発見した二人は可哀想なくらい顔色が悪かったです」



矢戸田さんと立川さん、ショックが大きかったんだろうな、と思った。

息吹ちゃんは質問する。



「いつから中庭にいましたか?」



唐沢くんは、
「何時って正確には言えません。時刻なんて確認してなかったから」
と、申し訳ないという顔をしている。



「でも」
と、彼は思い出すように言う。



「でも、その二人が中庭を通って裏庭に行くのを、俺達は見ています。その前に『ドン』ってすごい大きな音がしていて」

「その前から中庭にいました!?」

「……いました。っていうか、倒れていた時田さんが北校舎に入っていくの、俺達見ています」

「えっ!?」

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