真夜中の果て  ー文芸部コンビの事件帳ー

思いもよらなかったので、私は「えっ」と少し大きな声を出してしまう。



「……付き合ってたの?」
と、息吹ちゃん。



ゆみちゃんは首を横に振って、
「違います。竹中先輩の片想いらしいです」
と、慎重に話す。



「彼氏の瑛二先輩が言うには、竹中先輩は市川先輩のことを自慢していたらしいです」

「ん?片想いの相手を?」



ゆみちゃんは頷く。



「『俺はあんなに可愛い子と、もうすぐ付き合うんだ』って」



「『もうすぐ』?」

「そうなんです。何だかおかしいでしょう?市川先輩にその気があったのか、よくわからないんですけど」



息吹ちゃんは少し考えてから、
「関係あるのかな、市川さん」
と、呟いた。



「竹中先輩と?」
と尋ねると、
「うん。それに時田さんと、橋谷先生と」
と、息吹ちゃんは言う。



「え?」

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