真夜中の果て  ー文芸部コンビの事件帳ー

「……ねぇ、ゆみちゃんが言っていたでしょう?竹中先輩、市川 櫻子さんに片想いしてたって」



寧々様は思案顔で言う。



「市川さんと付き合えるとも言ってたんでしょう?ふたりがどんな感じで、どういう約束をしていたのかはわからないけれど、両想いだったのかな」



息吹ちゃんは、
「確かに、付き合う確信を持っているみたいな感じだったもんね?気持ちがある程度わかっていないと、そんなふうに言えないよね?」
と、考える仕草をしつつ言った。



「美男美女で、お似合いだったのにね」



寧々様は残念そう。



その時。



「あれ?藤沢さん?」
と、名前を呼ばれた。



「!?」

「あ、柴田さんも児玉さんもいますね」

「林堂先生っ!」



私達は公園の入り口に立つ、林堂先生に近寄って行った。



「林堂先生、どうしてここに?」



息吹ちゃんが尋ねる。



「いやいや、見回りです。みなさんのように、寄り道して帰らない生徒がいないか、見回っていたんです」



林堂先生は眉毛を下げて、
「困ったなぁ、他の先生に見つかると大変ですよ」
と、声を落とす。

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