真夜中の果て ー文芸部コンビの事件帳ー
だから犯人は男性なのか。
竹中先輩をどこかから、運んだんだから。
「それにもうひとつ、犯人が男性だと思う理由があるよ」
息吹ちゃんはジュースをひと口飲む。
「首にカーテンの紐のようなものが巻かれて、竹中先輩は発見されている」
「え?うん、そうだよね?」
「これって、凶器じゃない?」
「!」
息吹ちゃんは部屋の窓のそばに行き、カーテンの紐を手に取った。
「これを意味なく首に巻いたりしないでしょ?カーテンの紐だよ?」
「確かに。しかも今は六月で、毎日暑いのに、首に何かを巻くなんて考えられない。冷えているタオルとかなら別だけど」
息吹ちゃんは頷き、
「彩葉ちゃん、竹中先輩は首を絞められている」
と、待っているカーテンの紐に視線を落とす。
「絞殺ってこと?」
「多分」
息吹ちゃんは更に続ける。
「彩葉ちゃん、誰かの首を絞めるって、すっごい力が必要って知ってる?」