真夜中の果て ー文芸部コンビの事件帳ー
私は首を振る。
「女性の力で、首を絞めるって大変だと思う。すっごく恐ろしいこと言うけれど、絞めきれないと思う」
「そうなの?」
「わかんないけど、竹中先輩だって殺されそうになっていたら抵抗するでしょう?それをおさえて、首を絞めるんだよ?難しくない?」
そう言った息吹ちゃんは、
「男性が犯人なら……、出来るんじゃないかな」
と、呟いた。
「じゃあ、加瀬さんも市川さんも、容疑者から外れるね」
息吹ちゃんは頷く。
「でも、しっくりこないんだよなぁ」
と、ため息混じりに呟きながら。
私はお菓子をつまみながら、メモ帳をまためくる。
「ねぇ、息吹ちゃん。容疑者で残っているのってさ」
「うん。今の調査だと、滝口くんだけになる」
おかしな話だった。
滝口くんは時田さんを殺していないことはわかっている。
でも、何かを知っているだろう。
何かがわかれば、犯人と繋がる糸口になるのはわかっているのに。