真夜中の果て ー文芸部コンビの事件帳ー
第五話 気づき
登校が許されるようになって。
二年六組の教室に遊びに行っても。
加瀬さんの姿はなかった。
「どうしたの?加瀬さん」
と、息吹ちゃんに尋ねると、
「わからない。……でも、多分来たくないんじゃないかな」
と、おそらく加瀬さんの席に視線を移す。
その席には。
大きな文字で『殺人鬼、お前が死ね』と書かれている。
(ひどい……)
「加瀬さん、クラスから浮いてて。多分、他クラス、他学年の人からも変な目で見られてて……」
「寧々様の言ってたことだ」
『噂に潰されるよ。その子』
息吹ちゃんは小さな声で、
「一度、アリバイを聞きに行ったでしょう?」
と、話し始めた。
「あの時から加瀬さん、私のことを避けるようになっていて。話しかけられる雰囲気じゃなかったんだ」
「そうなんだ」
加瀬さんは事件の関わりを疑われることに疲れていたんだろうな。
(それはそうだよね?)
ましてや犯人扱いされていたんだもん。
疲れるよね?