真夜中の果て ー文芸部コンビの事件帳ー
「加瀬さん、つらかっただろうなぁ。私、何も力になれなくて……」
「息吹ちゃん、自分を責めちゃダメだよ」
息吹ちゃんは力無く笑って、
「彩葉ちゃんみたいになりたい」
と、呟いた。
放課後になって。
文芸部の部室に、私と息吹ちゃんと寧々様が集まった。
ソファーに座って寧々様が淹れてくれた紅茶を飲みつつ、私はメモ帳を見る。
「彩葉のそのメモ帳、もう事件のことばっかり、いっぱい書いてあるね」
寧々様は鞄からマシュマロの袋を取り出して、
「食べる?」
と、勧めてくれる。
「彩葉ちゃんのメモ帳は、事件帳だね」
息吹ちゃんが言いつつ、寧々様のくれたマシュマロを頬張る。
「どうにか解決したいんだけどなぁ。吉井さんの依頼も、きちんと果たしたいし」
「うん。そうだね。頑張ろう、彩葉ちゃん」
今日の私達は、林堂先生の課題である、文芸部唯一のまともな活動をする予定だった。
「読んだ?短編」
寧々様が紅茶を飲みつつ、聞いてくる。
私は頷き、
「一応書いたよ、感想文」
と、鞄から原稿用紙を取り出した。