真夜中の果て  ー文芸部コンビの事件帳ー

「何かとっ散らかった印象じゃなかった?それに、本編の主人公のほうが、短編の主人公より好感が持てるし、感情移入しやすかったよ」

「……」

「短編の主人公は、本編の主人公の影から出られていないっていうか。いくつも視点があるみたいで、私は読むの、つらかったな」



主人公の影から、出られていない?

とっ散らかった?

何人も主人公がいるみたい……?



(それだ)



私は勢いよく立ち上がった。

他のふたりが驚き、
「えっ、何!?」
と、声を出した。



「寧々様、ありがとう!息吹ちゃん、私、気づいたことがあるよ!!」

「えっ?」

「彩葉ちゃん?」



私は息吹ちゃんと寧々様を見つめて、こう言った。



「犯人は、ひとりじゃない」



寧々様は目を丸くして、
「は?」
と、言った。



「どういうこと?」
と、息吹ちゃんも驚いた声で返事をする。



「三つの殺人事件の繋がりを探していたでしょう?」



私はメモ帳に書いた『繋がり』という文字を指差す。

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