真夜中の果て  ー文芸部コンビの事件帳ー
第三章

第一話 限界


下校の電車の中。

息吹ちゃんとメモ帳を見ていた。



「少しわからないことがあるんだ」
と、息吹ちゃんは言う。



「時田さん落下事件と、橋谷先生殺人事件って、似てなかった?」

「うん。見つかった場所、時間とか、似てる部分が多かった。それで同じ犯人だと思った」



息吹ちゃんは考えている。



「どうしたの?」

「うーん、なんで似せたんだろう?」

「え?」



メモ帳を手に取り、息吹ちゃんは言った。



「時田さん落下事件に似せる必要があったんだと思うんだ。でも、竹中先輩は全然似せてない」

「違う犯人だからかな?」



私も考えてみる。

落下して亡くなった時田さん。

落下して、刺し傷もあった橋谷先生。

首を絞められた上に、刺し傷もあった竹中先輩。


「……息吹ちゃん、竹中先輩殺人事件ってさ、殺意強くない?」

「うん。そう思う。確実に殺すって気持ちが見える……」

< 135 / 195 >

この作品をシェア

pagetop