真夜中の果て ー文芸部コンビの事件帳ー
第三章
第一話 限界
下校の電車の中。
息吹ちゃんとメモ帳を見ていた。
「少しわからないことがあるんだ」
と、息吹ちゃんは言う。
「時田さん落下事件と、橋谷先生殺人事件って、似てなかった?」
「うん。見つかった場所、時間とか、似てる部分が多かった。それで同じ犯人だと思った」
息吹ちゃんは考えている。
「どうしたの?」
「うーん、なんで似せたんだろう?」
「え?」
メモ帳を手に取り、息吹ちゃんは言った。
「時田さん落下事件に似せる必要があったんだと思うんだ。でも、竹中先輩は全然似せてない」
「違う犯人だからかな?」
私も考えてみる。
落下して亡くなった時田さん。
落下して、刺し傷もあった橋谷先生。
首を絞められた上に、刺し傷もあった竹中先輩。
「……息吹ちゃん、竹中先輩殺人事件ってさ、殺意強くない?」
「うん。そう思う。確実に殺すって気持ちが見える……」